2012年5月19日 越後駒ヶ岳 パラグライダー ― 2012年06月02日
(越後駒ヶ岳・山頂付近からテイクオフ:写真提供は @jo_kit さん)
2012年5月19日、越後駒ヶ岳の山頂から水無渓谷へパラグライダーで飛びました。
1週前にも下見のため登りましたが、好条件を見送っていました。千載一遇の機会を逃したかと思われましたが、2週続けて良いコンディションに恵まれ、ラッキーでした。しかも、テイクオフの写真まで、きれいに撮ってもらえて!@jo_kit さん、ありがとうございます!
5月13日(下見)
山頂高度での穏やかな風予測に誘われて、パラの装備を担いで銀山平から越後駒に登る。昼をかなり過ぎた頃、山頂に到着。
離陸予定方向の西面・水無渓谷方向は、やや雲が多めだが解消しつつあるようだ。風は2m程度で、西から安定して入っている。離陸可能なコンディションだ。
しかし、西壁ブナツルネ沢に飛び出そうとすると、雪解けで露出してしまった笹薮が邪魔になる。雪で埋め戻して助走路でも作るか?
山頂北側の雪原を使う案は現実的だが、西に向かって走ろうとするとやや傾斜不足。北側は滑落してもほぼ安全な40度の良い斜面なのだが、今日は堅めのレインクラストの上にうっすら新雪が乗って危う過ぎる。
結局、離陸のイメージが固まらず、飛ぶのは止めた。そう言えば、先週受け取ったばかりのパラは、まだ代金もまだ支払っていなかったっけ。
この日は、山頂で笛の練習をして帰る。
5月19日(山頂~オツルミズ沢~水無渓谷 滑空)
下見から1週後、また良好な風の日がめぐって来た。昼頃山頂に着く。今日は飛ぶつもりで登ってきた。
山頂北側の雪原を利用しての離陸する。これは決定だ。しかし、西斜面にどうやって入り込んだら良いのだろう。
一旦北に出た後、山頂の西尾根・マキグラノツルネの浅い鞍部から西面に戻ろうか?だが、離陸直後にトリッキーな事をするのは、何だか危うい気がする。
北に向かって離陸し、オツルミズ沢に沿って飛べば緩やかに西に向きが変わって、水無渓谷に出られる。この経路だと佐梨川の岩壁からは北寄りの風が上がってくるはずだ。水無渓谷の西風との干渉で荒れるかも知れない。
迷いが取れないまま、山頂で時間が過ぎていく。遊びながら好機が訪れるのを待つ時のような心の余裕は全然なかった。ずっと不安に支配されたままなら、歩いて降りるのってのもありだ。
2時間近く山頂で考え込んでいたが、そろそろどうするか決めなくてはいけない。その時、風が前にも増して、穏やかになったのに気付く。風が弱ければ荒れ方も小さい。
風と共に心も静まり、オツルミズ沢に沿って飛ぶことに決めた。
急いで準備をし、助走路を踏み固めながら、飛び出しのイメージを作る。穏やかな風が、北寄りから入るのを頬で感じる。
14時20分過ぎ、離陸!フキギが真正面に見える。
離陸直後の様子は、こんな感じでした。(写真提供: @jo_kit さん)
高度を維持したまま、オツルミズ沢に沿って進む。
山頂を振り返った時、飛んでいる自分の姿が見えた様な気がした。
池の塔、さなぎ滝連瀑帯の落ち口に向かう。風の荒れた感じは、それ程ひどくない。
さなぎ滝連瀑帯を越える辺りで、アクセルの繋ぎ忘れが発覚!
ここからは、後を振り返る余裕もなく、着陸予定地の上空へまっしぐら。
郡界尾根・アオリ上空まで出て来た。着陸予定地はもう少し先。
水無渓谷から、山頂方向を振り返る。
谷の出口方向。着陸予定地上空で、高度処理にかかる
林道は冬季閉鎖中。停車中の車両のない駐車場にランディンさせてもらう事にした。
しかし、ここはサーマル発生源そのもの。上昇風の塊が絶えず上がって来る!
コントロールし切れず、オーバーラン寸前!
傍らの樹に助けを求める。
かろうじて無傷。助けてくれた樹々に感謝。
軽量設計の愛機 Geo3 は、意外と丈夫だった!
水無渓谷出口の荒山集落からの越後駒ヶ岳
標高差1600m、滑空時間は20分。上昇風からは、ひたすら逃げるだけのフライトでした。
2012年5月27日 八海山 パラグライダー ― 2012年06月03日
5月27日は、八海山で飛びました。日の池・月の池の雪原から離陸して、八つ峰南面の良好なサーマルで、山頂高度を少し超える高さまで上がりました。
まだまだ上げられる条件でしたが、何と言っても安全な着陸が目下の課題なので、早めに切り上げて降りました。
本当は麓からきっちり歩いて登るはずだったが、朝寝坊して八海山ゴンドラを利用してしまった。八つ峰の鎖場は雪がなくなっていて、問題なく通過。12時半頃、日の池・月の池の雪原に着いた。
雪の上を歩いて、離陸場所を探る。雪原のある尾根状の地形が風を振り分ける様になっていて、西寄りからも東寄りからも入って来ている様だ。
最初は傾斜の強めな西寄りを踏み固めて、離陸イメージを作ってみた。危険と言うほどではないが、しっくり来ない感じがする。1、2回は藪に絡まって、やり直しって事があるかも知れない。
一応、東寄りも見ておこう。こちらは傾斜が緩く準備はし易そうだ。しかし、平らな場所は良さそうに見えて、頭上で風が巻いている場合も多い気がする。風は入って来る様だが、だまされていないか?
風に舞う羽毛を見つけたので、行方を注視する。静かに岩峰の脇へと舞い上がって行った。これにより、東寄り斜面から出ることに決定!
雪面にパラを敷いて、離陸準備完了。
良い風よ、来てくれ!
13時50分ごろ、風が来た。ライズアップ開始!
一発で離陸成功!
最初は8の字で上昇域に入り込む。
安定した上昇風に乗って大きく3回ほど回すと、八海山山頂を少し越える高さまで上がった。
八つ峰の向こうに、越後駒が見える。
まだまだ上げられそうだったが、着陸が下手なのが目下の課題。早めに切り上げて着陸予定地に向かう。
足元の尾根からは距離があるので、まっすぐ突っ切っても問題ないと思ったが大間違い。強烈なサーマルの直撃を下から受け、かつて経験した事のないほど揺すられまくった。
残雪と岩っぽい尾根の組み合わせは侮れない。
着陸予定地の川原も周辺に駐車場や建物があり、そこから上がってくるサーマルでサクサクと降下するわけには行かなかった。
サーマルをよけながら気長に回して降りる事にしよう。フライトエリアと違い、他の人にせかされたりしないのが、とても良い。
緊張の着陸態勢!
川原は十分広いが、風上に当たる南側に低い岡があるのが厄介だ。また、周回アプローチなら、高度処理域になる西側は、堰堤の駆け上がりや道路サーマルで荒れ気味。
と言うことで、変則周回アプローチ。川原の上流部で360度の高度処理を行い、最後の180度旋回は8の字で代用する。
周回1回目。まだ高い。アスファルト程ではないが、川原の砂地からもサーマルが上がって来ているのを感じる。
周回2回目。岡の陰のシンク帯に突っ込むと、対地速度が一気に増して地面に近づく。その後、林の縁で再び持ち上げられる。木々の梢が間近になってきたが、まだ高い。
上昇風に揺すられた機体を安定させて、周回3回目。何だか今度は良さそうだ。
サーマルに踊らされた8の字旋回1セットをはさんで、程よい高さの直線滑空に持ち込む事ができた。
2時半頃、無事着陸!珍しく上出来でした。
八海山を振り返ると、帰路さんざん揺さぶってくれたサーマルたちが、小さな雲になって舞っているのが見えた。
午後3時の八海山。大きな積雲を冠している。
サーマルを自在に乗りこなせる様になるのは、いつの日の事だろう?
八海山登山道沿いの花たち
上の写真は自信を持って、イワウチワ。
これは、オオバカメノキかな?
間違ってたら「バカメッ!」と思ってください。
アカヤシオ。間違いない!
ハルリンドウでしょう。フデリンドウってのもそっくりさんですが。
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